2019年7月22日(月)、大宮生活館にて 中部地区主催

味噌は、美肌、抗がん作用、整腸作用と
人間の健康を保つ調味料と考えられている。
しかし、市販の味噌の中には、
1kg198円〜1000円超えの
価格の違いがある。

どんな味噌でも、健康を保てるのか?
なぜ、こんなにも価格の違いがあるのか?

 

【タイムスケジュール】

1.マルモ青木味噌醤油醸造場の
  全種類商品、味見。

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2.鈴木さんの講義

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3.マルモの味噌をお湯で
    溶いただけの「味噌湯」
    を味比べ

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4.味噌料理、全8種の試食

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・万能みそダレトースト
・ごま豆腐
・ゆずみそダレ刺身こんにゃく
・肉味噌、スティック野菜(味噌各種)
・コーンみそスープ
茄子味噌炒め
・ごぼうと蒟蒻の味噌炒め)

:調味料から材料全て生活クラブの消費材

 

5.各味噌を選んで
  お持ち帰り用の味噌玉作り

 

 

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鈴木さんの講義まとめ

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① 味噌の基本的知識

味噌とは、大豆、塩、麹で作られ、発酵のため熟成させたもの。

麹菌は、「オリゼー」と言って日本固有の菌で、「国菌」に指定されている。麹菌が酵素を作り、糖を作る。
これを酵母が食べて、たんぱく質を分解するアミノ酸が増える。
(肉魚が柔らかくなる理由。例えば豚肉の味噌漬けや魚の西京漬け)

麦味噌、米味噌、豆味噌などあるが、必ず、大豆が入らないと味噌と言えない。

中国には、そら豆で作られた豆板醬に代表される、「醬」があるが、あれは味噌とは言わない。

 

② 色の違い

味噌の塩のパーセンテージは1112%とほぼ決まっている。

理由1:ちょうど美味しい(減塩のために5%とかにしても、美味しくない。)
理由2:腐敗菌が生きられない塩分濃度

●塩分は一緒だが、最初は淡色(あっさり味)→熟成が進むと赤(甘みや旨味が増える)。
さらに発酵が進むと、黒くなる(苦味、酸味。食べてもお腹は壊さない)。

明確なルールや法律はなく、メーカーが「赤」と言ったら赤味噌になる。

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③ 生活クラブに卸している
  味噌の発酵期間

麦味噌(2ヶ月)
信州淡色みそ(3ヶ月)
十割こうじみそ(4ヶ月)
信州田舎みそ(6ヶ月)
国産天然醸造(1年)

それぞれの色の違いがあるが、例えば、信州淡色味噌を、少し置いておけば、発酵して色が濃くなる。

「酵母菌が生きている味噌」

●マルモ味噌は、天然蔵で発酵熟成させる。長野は涼しい気候だが、去年のような酷暑では、
発酵が進んで、味がのる前に着色が始まってしまう。そういう時は、早く出荷したり、
発酵を止めるために、冷却(冷凍)する。冷凍すると、酵母は眠り発酵を止めることができる。

また、常温に戻すと、酵母菌は起きて、発酵が進む。酵母菌は生きている!
(家庭でも、すぐに食べない時は、冷凍庫へ。カチカチに凍ることがないので、取り扱いも楽)

 

④ 生活クラブの出荷の特徴
    →冷蔵保蔵

生きている味噌は、常温に置くと、ぐんぐん発酵が進み、着色を始める。
腐ったり悪くなることはないが(日本の伝統的な保存食)、
「淡色」」と書かれたものが、色が着くと、
メーカーへのクレームや引き取りになってしまう。

また、発酵が進むことでガスが溜まり、ビニールをパンパンにして
(味には影響なし)、爆発の可能性も。

そこで、生活クラブは出荷から配達まで一貫して冷蔵で輸送し、要冷蔵の表記もしてある。

冷蔵管理は、もちろんコストがかかるが、生活クラブは冷蔵10トン車で一括買取なので、
安く提供することができる。

一方、大手メーカーは、冷蔵輸送や保存にコストをかけないので、バブルという、
空気穴のようなパッケージを採用した、このコストが15
円。

 

⑤ 食品添加物と
  「無添加」のカラクリ

一方で、マルモ味噌の中にも、常温保存可能な味噌もある。

要冷蔵とどこが異なるかというと、原材料に、大豆、塩、麹、アルコール(酒精)
と入っているもの(信州田舎味噌)。

アルコールは、発酵を抑える力がある。

常温でも保存可能で、スーパーでも、取り扱いが楽ではあるが、アルコール=食品添加物。
市販の味噌の売れ行きが好調なのは、「無添加味噌」。

アルコールが入っていると、「無添加」と表記できない。

そこで、加熱殺菌することを考えたメーカー。

「生きている酵母を殺す」ことで、バブルなし(15円のコストをカット)、
常温で保管可能、「無添加」と表記できる(アルコールの添加なし)、
さらに「加熱殺菌」と書かなくて良い。

すべての条件を満たした味噌を作り上げることが可能になった。

大手メーカーの「無添加味噌」の1/2は、加熱処理された「死んだ味噌」。

 

⑥ 手間を省いた結果…
    味噌の栄養も省いてる??

法律を掻い潜った、カラクリはまだまだ続く。

出汁入りの味噌。

出汁が入っていれば、味噌自体の熟成度(旨味)がなくても、旨味が出るので、
味噌自体は、着色していれば十分なので、発酵を早め、味噌の熟成が1週間ということもある。

また、出汁入り味噌は、加熱処理をしておかないといけない。

それは、生きた味噌だと酵素が出汁を分解して、味がなくなってしまうから。

そんな味噌汁を飲んだからと言って、健康に結びつくか疑問。

でも、出汁入り味噌はとっても人気だし、最近は液味噌も人気。溶く手間を省いた商品だが、
もちろんこちらも死んだ味噌。

 

★鈴木さんの実験
片栗粉(デンプン)を練ったものに、
マルモの味噌と市販の味噌を入れて
デンプンを分解する様子を観察。

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マルモの味噌はすぐに分解を始めて、
ドロドロになった。

酵母が生きている証拠

 

⑦ 味噌の甘みは何の違い?

大豆10対こうじ10の、
「十割こうじみそ」を基準にして、
大豆10対こうじ7〜8が信州味噌
大豆10対こうじ5〜6が東北地方
大豆10対こうじ20が西京味噌と言われる白くて甘い味噌。

麹の量で、甘みが決まる。

最近は、10対10の甘い味噌が東北でも主流で、
米所として盛んになってきたということも理由にあげられる。

マルモ味噌も、年に一回、白甘みそを作っているが、それも発酵が進めば、
色がついていく。生きている証拠だと思って、ご理解いただきたい。

(市販の白味噌は、製造過程の中で大豆をふやかす時に、漂白剤を入れて、
真っ白にする。それはそれは美しい白味噌になる)

 

⑧ 包材のコストについて
(同じ味噌でも、2000円になる理由)

平袋:10円(印刷込み)

ガゼット(マチがあるタイプ):20

カップ:70円(カップ、印刷、シール、酸性紙、脱気材など)

生活クラブの方針としては、内容にお金をかけたいので、包材にはお金をかけたくないが、

一番の売れ筋は、カップ。是非、ガゼットタイプを買って欲しい。

生活クラブでは「天然醸造」として売っている味噌も、新宿伊勢丹では、同じ味噌がパッケージを変えて、内容量少なく、2000円で売っている。カップ代、シール代、印刷に金を使っている等、パッケージに金額が上乗せされて金額が変わる。

 

⑨ 保存の仕方

袋に密着していれば、酸化しないので、袋のままどんどん使っていくのが実はオススメ。

カップの中の、脱気材は捨てて、薄紙(酸性紙)は捨てずに、
味噌に沿わせるように貼りつけながら、
使い進めると空気に触れる面積が少なくて良い。

袋から出すなら、瓶以外は、空気を通すので、早めに使っていくこと。

冷蔵庫保存が基本で、長期使用しないなら冷凍庫で酵母を眠らせてやる。

 

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☆感想☆

初めての生産者交流会で、味噌を通して、世界の見え方が変わった。メーカーの法律を掻い潜った売り方や考え方に、背筋が凍る思いがした。

世の中の多くが、こういうことで成り立っていて、知らないとその波に飲み込まれていく。

生活クラブの消費材のたった一つの生産者さんからも、こんなに沢山の情報や思いや考えがあって、毎週届くカタログの一点一点にそういうストーリーがあるのだと思ったら途方もなく、ありがたい気持ちになった。

また、減塩を気にされて、味噌汁を飲まないという流れもあったと思うが、味噌の中に含まれる塩は、高血圧に影響しないという医学的な報告がされていると知ったことも大収穫だった。鈴木さんに、減塩を気にされているなら、しっかり熟成された味噌を、少なめに使うことを教えてもらった。

休憩時間の、味噌湯タイムで「天然醸造」の味噌を溶いていただいたら、しっかりとした旨味を感じ驚きの美味しさ。出汁も具も不要の、万能ドリンク!